このようなお悩みを抱えている人に向けて、公務員の転職が難しいといわれている理由・転職の難易度について、実体験をもとにお伝えします。
こんにちは、あつしです!
20代後半のときに地方公務員(消防職)からIT企業に転職をしました。
この記事では、
・50社以上の面談・選考経験
・転職エージェントのキャリアアドバイザーの話
・周囲の会社員が抱えている悩み
このような転職経験、周囲の会社員事情を共有します。
転職を検討している公務員の方の「仕事選び」「転職活動」に少しでもお役に立てたら嬉しいです…!
公務員の転職が難しいといわれる3つの理由
公務員時代の転職活動では50社以上の書類選考・面接試験に取り組み、その選考に落ち続けていました。
でも、そんな多くの失敗を経験したことで、
- 公務員の転職が他の会社員よりも難しい理由
- 上記の対策方法
この2つを身をもって学ぶことができました。
そこでこの項目では、その転職活動で学んだ「公務員の転職が難しいといわれている理由」を3つご紹介します。
①売上への意識が低い
公務員の転職が難しい理由の1つに「売上への意識」があります。
社会貢献性を重視する公務員に対して、会社員は『市場のニーズ』を重視して、売上や業績の向上を目指して仕事をしています。
この公務員と会社員のギャップを、
採用担当者や社長といった企業サイドがネガティブに捉えている
という可能性が高まり、公務員の転職を難しくさせる要因になります…
このネガティブな公務員の印象を払拭するためには、『民間企業の売上貢献につながるような実績』を書類選考や面接試験でアピールすることが大切です。
実際に僕は、
「ペーパーレス化に取り組み、所属部署の紙の消費量を30%削減しました!」
「エクセルやワードを活用してドキュメントを作成し、業務効率化に取り組みました!」
と、民間企業にも活かせそうな取り組みをアピールすることで、書類選考の通過率を高めることができました..!
②明確なキャリアプランがない
「具体的なキャリアプランを持っていない」という点も、公務員が転職が不利になる要因の1つです。
公務員の出世・昇級はほぼ自動的に行われますよね。特に若い人ほど、「将来どのポジションに就きたいのか」を計画している職員はかなり少ないです。
民間企業は必ずと言っていいほど、従業員に対して「できるだけ長く働いてほしい」と期待しています。自分の会社で経験豊富な職員を手放すのは、会社の売上に大きく影響するからですね。
そのため、民間企業は転職希望者に対して、
- 「この人は将来どんなキャリアを臨んでいるのだろう?」
- 「キャリアによってはうちの会社で実現できないものもあるから、その場合はきっと長く働いてもらえないだろう…」
このような疑問を抱き、実際の面接試験で「キャリアプランはありますか?」と聞いてきます。
この時に明確なキャリアプランを持っている人や、そのキャリアプランが企業サイドとマッチした時には、「この人は長く働いてくれそうだ」と評価されやすくなるのです…!
なので、”キャリアプラン”をあまり意識することがない公務員の環境は、転職市場において、他の会社員と横に並んだ時に不利になってしまう可能性が高まります…
③ワークライフバランスに大きなギャップがある
「ワークライフバランスの違い」も、公務員が転職が不利になる要因の1つです。
その理由は、企業側が公務員に対して
「この人は民間企業の働き方が合ってるか」
「うちの会社の社風に合う性格なのか」
といった不安を持っているからです。
たとえば民間企業には、以下の就労規則・社風がある企業が存在します。
- 生産性を重視し、出勤時間が自由なフレックス制度を採用
- 年功序列制度を廃止し、若くても実力があればプロジェクトリーダーになれる
- 海外出身の従業員がいて、英語や中国語が飛び交う職場環境
このような年功序列制や定時出勤・定時退勤を重視するような「公務員の環境と正反対の文化がある企業」は、特に”社風”への対策の重要度が増してきます。
これらの対策については、次の項目でご説明しますね。
実際に僕が転職をしたIT企業は、「上下関係のない出勤時間が自由な会社」でした。
当時の採用試験では、
「自分自身がどのような働き方を臨んでいるのか」
(逆に、なぜ公務員の環境が合わなかったのか)
という”自分の考え”を面接試験で伝えたことで、内定獲得につながったと感じました!
【対策4つ】公務員の転職活動を楽にする方法
この項目では、先ほど紹介した”公務員の転職が難しいといわれる3つの理由”の対策として、「公務員の転職活動を楽にする方法」を3つご紹介します。
①「売上に貢献できる実績」を今のうちに作る
公務員の転職活動を楽にする1つ目の方法は、今から売上に貢献できる実績を作ることです。
「公務員の環境で民間企業にも活かせる実績作り」に取り組むことで、書類選考や面接試験でアピールできる内容が増えて、転職活動を楽に進めることができます。
公務員の環境で作れる実績の例には「コスト削減」があります。
公務員と民間企業の両方に存在する、
- 経費
- 非効率な業務
- コミュニケーションコスト
このような”コスト”を削減することで、『売上に貢献できる人材』という印象を与えることが可能になります。
たとえば、公務員あるあるの「事務手続きのフローが昔と変わらない」といった非効率な業務課題に対して、
- 問題点を自分で考えて、
- 上司に効率的な作業フローを提案する。
このような取り組みを図ることで、『非効率な業務を改善した』という実績を獲得することができます。
その他にも、
- 経費削減の具体例:電子ファイルを活用してA4用紙の使用頻度を削減する
- コミュニケーションコストの削減:回覧板の有効活用を広める
といった周囲の”ムダ”を探し、それを改善することは、民間企業では売上に直結する業務改善になるのです…!
したがって、公務員の環境に存在するさまざまな”コスト”を削減することで、『売上に貢献できる人材』というアピールができるようになります。
僕も民間企業への転職を決意した後に、
・A4用紙の消費具合を調べながらペーパーレス化に取り組む
・エクセルやワードで業務効率化に取り組む
このような業務改善・経費削減に取り組みながら転職活動を進めていきました!
その結果を自己PR文に書き、面接試験でアピールするようにしてから、転職活動がスムーズに進むようになりましたよ!
②数年後と将来的なキャリアプランを明確にする
公務員の転職活動を楽にする2つ目の方法は、
- 数年後のキャリアプラン
- 将来的な(理想的な)キャリアプラン
この2つを明確にしておくことです。
これらのキャリアプランを明確にしておくことで、企業サイドの「この人はうちの会社で長く働いてくれるか?」といった疑問の解消につながります。
将来のキャリアプランについては、転職活動での面接試験で必ずと言っていいほど聞かれます。
この時に「数年後のキャリアプラン」と「将来的な理想のキャリアプラン」の2つを伝えることで、
”自分がその会社に入った後に活躍する姿”を面接官がイメージしやすくなる
といったメリットがあるのです。
その面接官の”入社後のイメージ”が「会社で長く働くあなたの姿」なら好印象につながり、面接試験の合格率を高めることができます。
これらの理由から、数年後と将来的なキャリアプランを考えることは、転職活動が楽になることにつながるのです。
僕の例では、
・数年後はエンジニアとして開発部門のリーダーになる
・将来的には技術責任者として会社に貢献したい
このように2つのパターンを用意して面接試験に望みました。
また、将来的なキャリアプランは企業によって変えていました。
具体的には、同じ企業が”管理職向けの求人”を出していることがわかったら、「プロジェクトリーダーになりたい」と伝えて、少しでも企業のニーズに合う内容に変えました。
将来のキャリアプランがはっきりある人は、そのことを正直に伝えたほうが”自分”をよりアピールできるのではないかと思います。
僕みたいな「将来のキャリアプランがはっきり見えない」という人は、企業によってキャリアプランをチューニングするのもありですよ!
③「公務員の不満」をプラスに変換する
公務員の転職活動を楽にする3つ目の方法は、「公務員の不満」をプラスに捉え直すことです。
働き方や文化、環境など、公務員としての”不満”をポジティブに変換し、面接試験で相手にうまく伝えることで、面接官の好印象につなげることができます。
たとえば、あなたが今の職場に対して
「業務の進め方がガチガチで柔軟に働けない」
といった不満を持っていた場合、それは『実績重視で主体的に働ける環境が向いている』と変換することができます。
この「実績重視」や「主体性」といった言葉は、売上重視の民間企業に好まれるフレーズです。
公務員と民間企業は正反対の性質。公務員の不満を裏返すことで、自分が民間企業に適していることを説得力をもって伝えることができますよ!
”専門性”の重要度は年齢によって変わる
公務員として長く働くと、
「専門性がなくて転職できない…」
と考えてしまいますよね。
僕も8年間公務員として働く中で、「自分なんて民間企業では通用しないんだろうな…」といったネガティブな思い込みを何度もしていました。
ですが、実際の転職活動で企業側の採用担当者の話を聞いたり、転職エージェントのキャリアアドバイザーの助言から、
- 「専門性」の重要性は年齢によって異なる
といったことがわかったのです。
もっとも専門性が求められるのは30代
転職エージェントによると、企業側が30代以降の転職者に求めるのは、多くのケースで「即戦力性」とのことです。
具体的に企業サイドは、
30〜40代の転職者に対して、部署の中心人物として即座に業務に従事し、売上げに貢献してほしい
このように考えていることが多いです。
一方で40代以降の転職者には、チームのトップとしてプロジェクトを滞りなく進めたり、部署全体・組織全体を総合的にマネジメントしてほしいといったことを求めているため、特殊スキルや専門知識の重要度は比較的下がります。
これはあくまでも「一般的な傾向」の話で、会社や業界ごとでも変わってきますが、
- 20代は専門性よりも「ポテンシャル」
- 30代は「専門性(即戦力性)」
- 40代以降は専門性よりも「総合マネジメント力」
このようなイメージをもっておくと、採用試験のときの「企業側との認識のすれ違い」を防ぐことができますね!
多くの会社員も「専門性がない」と悩んでいる
公務員から転職してさまざまな会社員と話す中で、
- 多くの会社員も「専門性がない」と悩んでいる
と気づくことができました。
実際に「業務内容が誰でもできるタスクばかりで、専門性が身につかない」と打ち明ける友人が何人もいて、転職に後ろ向きでした。
このような公務員と同じ悩みを持つ社員がたくさんいるのは、「新卒で会社に入職したら、退職まで働き続ける」という日本特有の文化が関係しているといわれています。
- 日本は社員ごとに業務内容・責任範囲の線引がはっきり存在しない「メンバーシップ型雇用」を長く採用
- 一方アメリカは、従業員の業務範囲や責任範囲を明確に定める「ジョブ型雇用」を長く採用
このような文化的な背景があることから、「専門性がないから転職できない」といった悩みは公務員だけでなく、多くの会社員も抱えているのです…
転職の難しさはタイミング次第!
多くの会社員に専門性が無いのなら、日本で転職を実現できる人は「エンジニア」や「簿記検定1級を持つ会計職」のような専門職に限られるのでしょうか?
結論、そのようなことは全くありません。
実際に日系企業の総合職だった人が「外資系IT企業の部長クラス」に転職したり、元公務員が「コンサルタント企業や外資系企業」への転職を成功させている事例があります。
僕自身も、専門性ゼロで全く未経験の状態からIT企業に転職することができました。
転職がうまくいった人の共通点は、
- ベストなタイミングで転職をした
というものがあります。
詳しくは”【公務員必見!】初めての転職活動で知らないと損する4つの事実”の記事で解説していますが、
- その業界の多くの企業が業績を伸ばしているタイミング
- 会社の売上が爆発的に伸びているタイミング
このような「企業側が雇用を一気に拡大するタイミング」で転職活動することで、専門性がなくても優良企業に転職する道が見えてくるのです…!!
公務員からの転職は難しい?まとめ
この記事では、公務員から転職を考えている人に向けて、転職のリアルな難易度を紹介してきました。
「専門性や特殊スキルがなくて、転職に積極的に慣れない…」といった悩みがあるのは公務員だけではありません。
その他大勢の会社員も、同じような悩みを抱えているのです…!
もし、そのような会社員も転職できない世の中だったら、転職は「オワコン」になってしまいますよね。
ですが近年の日本は、業界全体で転職市況が活発になっています。
他の会社員も転職を実現している人が増えているので、公務員にもチャンスがあるはずです。
実際に転職して職場を変えることはリスクがありますが、転職活動だけならノーリスク。
転職について前向きに考えてみてもいいかもしれませんね!